日別アーカイブ: 2015年8月20日

辻光文さんのこと

『苦しみとの向き合い方 言志四録の人間学』に書いた辻光文さんのことが随分話題になっているようです。光文さんは車いすの生活になってしまわれましたが、高槻市に元気にお住まいになっています。辻光文さんを知って取材し、心を打たれたのは、光文さんが子どもたちの魂に手を合わせて祈るようになられたことでした。すると荒れていた子どもたちが穏やかになり、落ち着いてきたのです。そこで光文さんは気づきました。子どもたちにレッテルを貼って、みほとけの慈悲が届いていたのを遮っていたのは自分だったと! 以来、光文さんは人を教育しようとか、しつけようとかしなくなりました。それぞれの持ち味が存分に伸びるよう、後押しをされました。それで光文さんの学寮はおだやかな学寮として知られるようになりました。光文さんが阿武山学園をやめられて、高槻市にお住まいになると、子どもたちは折につけて「結婚しました」「子どもが生まれました」とお宅を訪ねてくるようになりました。光文さんは自宅を「えにし庵」と名付けて誰もが訪ねてこれるようにされました。「いのちは一つつながりでした。自分と他人を分けていたのは、私がまだまだ本当のいのちの実相に気づいていなかったからでした」とおっしゃる光文さんに私は「地涌の菩薩」を見た思いがしました。