中村天風「幸せを呼び込む」思考 神渡 良平著 講談社+α新書 - 十四 水からの伝言

桑原健輔さんの抜粋の第12回目です。

中村天風『幸せを呼び込む」思考       神渡 良平著  講談社+α新書

光

 

十四 水からの伝言

 

「人間の心に、何かの観念が出ると、その観念の型のとおりに宇宙本体から微妙な力が働き出し、その観念の型が、良ければ良いように、悪ければ悪いように――わかりやすくいえば――思い方や考え方が積極的であれば、積極的なものが出来、消極的なら消極的なものが出来る。そういうように真理が出来ている。人間の境遇だとか、その人の現在に同情するということはないのである。真理というものに同情はない。峻厳侵すべからずである(『運命を拓く』中村天風著 講談社)

 

 言葉の威力

 私は言葉の威力を発見し、自分の信念の強化法を確立したのが天風だと説いた。

 言葉は空気を震わせて相手に伝わっていくからバイブレ-ションそのものだが、その言葉は私たちの潜在意識に影響を及ぼすだけではなく、念波として自然界のもろもろのものにも影響を与えている。

 その言葉を取り扱う人間の心は極めて重要なのだと天風は言う。

「どんなことがあっても忘れてはならないのは、心というものは、万物を産み出す宇宙本体の有する無限の力を、自分の生命の中へ受け入れるパイプと同様である、ということである。パイプに穴が開いていたら、もれてしまう。だから、そっぽを向いていたら何もならない。パイプでわからない人は、光を通す窓だと思いなさい。.電流を通ずるワイヤ-だと思えばよい」

 そして現在、人間の存在が地球環境、とりわけ水に与える影響には看過できないものがある――と、もっとも深刻に受け止めているのが、「水の結晶写真」で知られる江本勝さんだ。

 江本さんは、現在45カ国語に翻訳され、関連本がすでに2百万部を超えて世界的なベストセラ-となっている『水からの伝言』(波動教育社)や『水は答えを知っている』(サンマ-ク出版)などの著者である。

 長年にわたって波動という観点から水を研究してきて、水に深刻な異変が起きていることを知った江本さんは、水の浄化と再生が地球を存続させるには不可決だと訴えている。

「私たちの惑星地球は、”水の惑星”と呼ばれています。これほど豊富に水が存在する星は、宇宙広しといえども地球以外には見つかっていません。

 私たちの生命は海水から誕生したと言われており、私たちが生命を維持する上で、水は必要不可欠な要素であることは、周知の通りです。私たちは水の働きなしには、一瞬たりとも、生命を維持することはできないのです。

 これほどに貴重で本質的な水が、世界中で深刻な汚染を受けています。地球の再生と存続は水の浄化と再生にかかっております」

 その訴えが実り、現在江本さんは世界各地で、「水に愛と感謝を捧げるセレモニ-」を開いている。

 平成20(2008)年8月3日、”シベリアの真珠”とも讃えられているバイカル湖で、約100名の人々と実施している。司会はロシアのス-パ-モデルで、女優でもあるイリ―ナ・パンタエヴァさんで、環境問題の専門家でサンクト・ペテルブルグ大学教授のコンスタンテイン・コロトコブ博士やパク・キ・ホ教授なども参加して行われた。その模様を伝えて、言葉の威力について考えてみたい。

 

 

 「水に愛と感謝を捧げるセレモニ-」

 このセレモニ-は平成11(1999)年7月24日から25日、97歳になってなお矍鑠として全国を講演行脚されていた塩谷信男さん(故人)を迎えて琵琶湖で開かれた水のセレモニ-「ありがとう琵琶湖感謝祭」を原型として、平成14(2002)年7月

、イスラエルのガラリヤ湖畔で開かれた「第1回世界の水に愛と感謝を捧げるセレモニ-」に続いて、世界各地の湖で開かれてきたものである。

 原型ともなった琵琶湖での感謝祭では、約350名の参加者が声をそろえて高らかに、「琵琶湖の水がきれいになりました!ありがとう」

と唱えると、繁茂し過ぎた外来藻のアオコが腐って悪臭がただよっていた琵琶湖が蘇生したと、京都新聞などでも報じられたことは、拙著『人間この輝かしきもの』(致知出版社)

に詳しく書いたとおりである。

 その後、江本さんを呼んでのセミナ-は世界各国に広まり、現在では75カ国、約500回(国外のみの数字。平成20年9月現在)開かれるに及んでいる。

 江本さんの啓蒙運動がロシアにも広がり出したのは、平成19(2007)年、江本さんがロシアの映画製作グル-プ、マスタ-スカヤのサイダ-・メドヴェデヴァ監督が製作したドキュメンタリ-映画『WATER』に出演し、清浄な水と汚染された水の結晶写真を見せ、水の浄化再生を訴えたことからだ。

 映画『WATER』は世界の著名な水の研究者や環境問題の専門家、宗教家のメッセ-ジを伝えたものである。スイスの化学者で2002年にノ-ベル化学賞を受賞したクルト・ヴユ-トリッヒ博士も登場し、水は情報を記憶する能力があると訴えた。この映画はもともとロシア国内向けだったが、現在は英語版も作られて、世界中に広がっている。

 このドキュメンタリ-映画が縁となって、江本さんはロシア各地に講演に呼ばれ、セミナ-を開くようになった。そしてバイカル湖の汚染が進んでいることを知ったのだ。

 バイカル湖は地球上でもっとも透明度が高く、深度もある湖で、世界の淡水の20%を保持しており、北米の5大湖の水をすべて合わせたよりも水量が多く、バイカル湖の水だけ使っても、人類すべてが40年間は生き延びることができるとも言われている。バイカル湖は文字通り、人類にとっての水瓶なのだ。

 それにバイカル湖はまた地球上でもっとも古い湖で、2500万年前にプレ-トの移動によって作られたと考えられている。この湖には1500種もの固有種が生存しており、そこで観察される動植物の半数以上はこの湖以外では見ることができない。そういうこともあって、1996年、ユネスコはバイカル湖を世界自然遺産に登録した。

 

 

 感謝の祈り『お水さん、ありがとう」

 平成20(2008)年8月3日(日)、現地時間の午後5時、江本さんたち100名あまりの人たちは、バイカル湖最大の島であるオリホン島のシャ-マン岩と呼ばれる小さな岬に集まり、シャ-マン岩の右手の岩浜に腰を下ろした。オリオン島はシベリアのシャ-マンの聖地で、シャ-マン岩は島内最大の集落フジ-ル村の近くにある。目の前にバイカル湖の湖面が広がっている。会場の背後の斜面には、司会を務めたイリ-ナさんの提案で、国旗を使ってピ-スマ-クが描かれている。

 イリ-ナさんは自伝『シベリアン・ドリ-ム』(講談社)によると、バイカル湖東岸にあるブリヤ-ト共和国の首都ウラン・ウデの出身で、この地域の先住民であるブリヤ-ト人である。だからイリ-ナさんはブリヤ-ト人の民族衣装を着て、司会を務めたのだが、ブリヤ-ト人にとってバイカル湖は聖なる湖であり、オリホン島はブリヤ-ト人の聖地である。実はこの場所でセレモニ-を行いませんかと提案したのはイリ-ナさん自身だった。

 江本さんは挨拶に立って、「水に愛と感謝を捧げるセレモニ-」の発祥の地となった琵琶湖とバイカル湖の関わりについて述べた。

「ここシベリアには神さまがスプ-ンで土地を削り取ったところにバイカル湖ができ、その土を海に放り投げたところが日本列島になったという伝説があるそうです。その日本列島の最大の湖が琵琶湖なんですが、琵琶湖は日本では『マザ-・レイク』(母なる湖)

呼ばれています。

 いま私たちが見晴らしているバイカル湖は、シベリアでは『ファザ-・レイク』(父なる湖)と呼ばれているそうです。琵琶湖と見えない糸で結ばれているバイカル湖で、今年こうして水のセレモニ-を行うことができ、とっても幸せに思います」

 地元の参加者たちは江本さんがバイカル湖のいわれに言及したので、拍手喝采して喜んだ。引き続いて「水への愛と感謝プロジェクト」の事務局長を務める根本泰行さんとイリ-ナさんが誘導瞑想を行い、愛と感謝の思いで全身を満たして、目の前のバイカル湖と一つになるよう呼びかけた。

 そしていよいよ実施に入った。最初に江本さんが日本語で、「バイカル湖の水への祈り」を一行唱え、続いてイリ-ナさんがロシア語で唱え、その後全員がロシア語で唱和し、それを3回くり返した。

「バイカル湖のお水さん、ごめんなさい」

「バイカル湖のお水さん、愛しています」

「バイカル湖のお水さん、ありがとう」

「バイカル湖のお水さん、大切にします」

 私たちの目の前に広がっているバイカル湖の水は、私たちの体の中の水にもつながっている。だから水にお詫びし、感謝し、尊敬を表すということは、目の前の人にお詫びし、感謝し、尊敬を表すということでもある。江本さんは世界中の人々が私たちと一緒に同じ時刻に、バイカル湖の水に対して愛と感謝の祈りを捧げていることを思い起こし、お互いに赦し、和解しましょうと語りかけた。

 するとバイカル湖の水がみんなの祈りに応えたかのように、心地よい波音をたてて渚に打ち寄せてきた。頬をなでる風、雲間から射してくる光、鳥の鳴き声なども、みんなの参加を喜んでいるようだ。

 続いて同様の方法で、「地球の水への祈り」を捧げ、江本さんの師であり、琵琶湖でセレモニ-を先導された故塩谷信男先生が教えてこられた大断言をロシア語で唱和した。 「宇宙の無限の力が凝りこって、真の大和の御世が生り成った」

 最後に江本さんのリ-ドで、みんなで一緒にロシアの歌を数曲歌った。それに応えるように、地元の参加者が自然発生的にバイカル湖の歌を歌い、1時間弱のセレモニ-が終わった。

 

 

 二重の虹が祝福してくれた

 そのセレモニ-の間中、コロトコブ博士はセレモニ-の前後におけるバイカル湖の水のエネルギ-の変化を、博士自身が開発したキルリアンGDV装置を使って測定した。江本さんもまたセレモニ-前後のバイカル湖の水結晶写真を撮るために採取した。

 キルリアンGDV装置とは、人間の指先のエネルギ-を写真乾板上に可視化する手法として知られているキルリアン法に改良を加え、感度の高いCCDカメラをコンピュ-タと連動させ、定量的にエネルギ-変化を測定することができるようにした装置である。この

装置を使うと、微細なエネルギ-である人間のオ-ラも画像として測定できるだけでなく、さまざまな溶液や固体のエネルギ-状態も調べることができる。現在この装置は世界中でさまざまな対象物の微細エネルギ-を研究するために使われている。

 セレモニ-の間、バイカル湖の対岸は雨模様だったが、セレモニ-会場では幸いにして雨は降らず、セレモニ-が終わった途端、降り始めた。

 一行はフェリ-でオリホン海峡を渡って大陸側のサフュルタ村にあるロッジに戻り、2階のレストランで夕食を摂っていると、テラスに出ていた人たちが、

「二重の虹が出ているぞ!」

と騒ぎ出した。その声に惹かれて、江本さん一行もテラスに出てみると、西の空にとても鮮やかな虹が二重に架かっている。地元の人もこんな美しい大きな虹は見たことがないと見とれている。まさに太陽と水が織りなす壮大な自然のペ-ジェントだ。みんな呆然として西の空に見入っていた。

 セレモニ-を終えて帰国した江本さんは、感慨深げにこう語った。

「私もあの壮大で美しい虹を見たとき、体中に鳥肌が立ちました。そして地元の人から、『ロシアでは虹は神からの祝福なんです』と言われたとき、涙が出てくるのを禁じえませんでした。そう、私はこの10年”水は神のメッセンジャ-”と説き続けてきましたから。

 私にとって塩谷信男先生は神のような存在でした。その先生から教えていただいた『大断言』を唱えた結果できた虹、それはあたかも塩谷先生が、『江本君、よくやったね』とおっしゃってくださっている祝福のように思えたのです」

 水の惑星を守る闘いは地道ではあるけれども、一歩一歩、前進しているのだ。

 

 

 あらゆる存在は波動である 

 現地に行けない人は、バイカル湖でのセレモニ-に合わせて、それぞれの場所で祈った。意識の世界、エネルギ-の世界では距離はないに等しいので、波動そのものである念波は瞬時にバイカル湖に届くのだ。遠隔地で参加した人の要領はこうだ。

 まず、清浄な水を入れたグラスを用意して、バイカル湖の写真の上に載せる。そしてグラスの中の水に対して、前述した祈りを唱え、謝罪・愛・感謝・尊敬の祈りを捧げる。その間、グラスを両手で包み、自分の ハ-トから流れ出る愛や感謝の波動が、掌を通じて

グラスの水に照射されるよう祈る。その結果、グラスの中の水の分子の一つひとつがキラキラと美しく輝いているとイメ-ジする。

 次に、グラスの中の水に込められた謝罪・愛・感謝・尊敬の祈りの波動が、グラスの中の水からバイカル湖の水全体に伝わっていくよう思い描く。水はすべて一つにつながっているので、グラスの水もまたバイカル湖の水につながっている。

 謝罪・愛・感謝・尊敬の祈りで満たされたバイカル湖の水から、再び世界中の水にそれらの波動が伝わっていくことをイメ-ジする。そして地球全体の水が、謝罪・愛・感謝・尊敬の波動で包まれて、金色の光で美しく光り輝いていることを思い描く。

 インタ-ネット技術の発達によって、世界のどこにいようとリアルタイムに映像を見ながら参加できるのは、遠隔地での参加者にとってはとてもありがたい。このように江本さんが唱導している水の浄化運動はいま、世界を巻き込みつつあるのだ。

 余談だが、バイカル湖周辺に住むブリヤ-ト人と日本人の間には深い関係が在るらしい。日本の遺伝学者が日本人の遺伝子構成を詳しく調べ、世界のさまざまな民族の遺伝子と比較した結果、もっとも近縁な民族はブリヤ-ト人であることをつきとめている。バイカル湖で「水に愛と感謝を捧げるセレモニ-」が行われたのは、私たちが意識の深いところでつながっており、バイカル湖に対して郷愁にも似た感覚を持っているからかも知れない。

 江本さんの考え方の根底にある「あらゆる存在は波動(バイブレ-ション)である」という世界観は、天風の世界観でもある。揺るぎなく堅固のように見える物質もバイブレ-ションに過ぎないと観想すると、物質は不動のものだという固定観念が破れ、体から力みが取れて、楽な姿勢で対処できるようになる。

 江本さんが塩谷先生から教わった「宇宙の無限の力が凝りこって、真の大和の御世が生り成った」と唱える「大」断言」は、断定的な言い方をする。すなわち、「こうあってほしい」と希望的願望を述べるのではなく、「こうなって頂いて、ありがとうございました」と現在完了形で感謝する。

 塩谷先生は90歳を過ぎてもゴルフをやっており、しかもエイジシュ-タ-(年齢と同じか、それ以下のスコアでラウンドを回るゴルファ-)だった。それは塩谷先生自身の生き方の反映で、まだ成就していない事柄を、「すでに 成就した」として現在完了形で感謝し、ついに成就してしまうのだ。

 断定的願望は願望が強烈に強くなければ、抱くことはできない。いわば、寝ても覚めてもという状態だ。江本さんも塩谷先生も大風呂敷に見えるかも知れないが、本当に事を成就する人はこういう発想をしているのだ。肝に銘ずべきである。

[`evernote` not found]