書影『いのちを拝む』

沈黙の響き (その106)

「沈黙の響き(その106)」

新刊『いのちを拝む』が620日に発売されます!

神渡良平

 

 待ちに待った拙著『いのちを拝む――雪国に障がい者支援の花が咲いた!』が発売されます。「待ちに待った!」というのは、障がい者とその保護者たちが待ちに待った本です。

というのは、障がい者の保護者たちは介護の支援なしに生活するのはとても大変なことです。20年前、新潟県十日町市で、障がい児を抱えて四苦八苦していた樋口功さん、春代さんとご家族の努力によって、支援センターあんしんがスタートしました。

 

その後、支援センターあんしんは紆余曲折を経ながら次第に成長し、かゆいところに手が届くようなサービスを提供できるようになりました。日中はワークセンターやきぼうワークスで働き、夜はグループホームに帰って、地域生活をエンジョイしている障がい者が、今では総勢160名になりました。

 

障がい者にとって、普通の人と同じように、町なかで仕事をし、生活するというノーマライゼーションや、障がい者を特別扱いするのではなく、障がいも特徴の1つに過ぎないというインクルーシブ(包括的)なとらえ方は画期的です。支援センターあんしんはそれを実現しているのです。全国に数多くある障がい者支援をしている団体のうちで、そのトップ3に入るグループだといえます。

 

その成長の記録が本書『いのちを拝む』で、支援センターあんしんを貫いている理念、

「障がい者は実は私の“福の神”だった!」

 を活写しました。障がい者が厄介者扱いされるどころか、“福の神”として大切にされているのです。

 

それを見事に表したのが、機関車役の一人、久保田学事務局長と、創設者樋口功会長の長女果奈(かなこ)子さんの結婚式でした。2人は記念すべき結婚式をホテルの大ホールで祝うのではなく、普段はそういう晴れがましい席に出席することがない障がい者たちが出席して楽しめるような場にしようと考えました。十日町市に隣接する津南町には広大なひまわり畑があります。

ひまわり畑のど真ん中での結婚式!

これはいける。ひまわり畑の真ん中での結婚式だったら、普段着のまま、ノーネクタイで参加できるし、みんながピクニック気分で参加できます。それにバーベキューもやったらどうだろう。ホテルの室内だったら、まさかべーべキューをすることはできませんが、屋外のひまわり畑なら何の問題もありません。このアイデアにみんなが沸き立ち、多くの障がい者や保護者たちが参加して、夏の1日を楽しみました。

 

 つい先日はみんなで田植えをやりました。田んぼづくりには農耕馬も参加し、みんなはその馬がひくソリに乗って大はしゃぎ! みんなで人生そのものを謳歌しました。人生は楽しまなくっちゃ損だ! これらの企画に支援センターあんしんの姿勢が現れています。

 

 樋口会長はそういう支援センターが経済的にも運営していけるコツを本書で述べ、それぞれの支援センターが自立できる方法を説き、そのための支援は惜しまないと強調しています。運営方法を学び、自立の方法を探るという点でも、本書はたいへん参考になるだろうと思います。

 購入をご希望される方は、kamiryo12@gmail.com か、0434601833(電話&FAX)にお申し込みください。「笑顔に開く天の花」と扉書きして、お送りします。

書影『いのちを拝む』

ひまわりウェディング2009-7-26

学さんと果奈子さんのツーショット

写真=『いのちを拝む』の書影 ひまわり畑での結婚式 祝福された久保田学さんと果奈子さんの満面の笑み