滋賀県草津市のS・Iさんより(2020.3.22)

 2020.3.22 

『アメイジング・グレイス 魂の旅路』を読み終えての感想

 

 歌手のアイカさんにお借りした本『アメイジング・グレイス 魂の旅路』を今日読み切りました。ジョン・ニュートン司祭の命とその人生の全てが込められた歌詞なのですね。最後の方は、私の子ども達にもみくちゃにされながら(笑)、涙も鼻水も流しながら読みました。私は今までなんて浅いところでこの歌を聴いていたのだろう……と、愕然としました。

 

 母はさだまさしさんの歌「風に立つライオン」を聴いたのでしょう。天に旅立ったのは2000年でしたから「アメイジング・グレイス」が本田美奈子さんのカバーや骨髄バンクのCM等で有名になる前でした。当時20歳の看護学生の私には何が何だか分からないうちに、母は肝臓の病気で昏睡してしまい、チューブだらけになってしまいました。そんな母をさすってあげることもできず、ただ呆然として見送った自分の無力さに絶望していました。葬儀では私は腑抜けたようにポカンとしていました。母は遺言で「葬式では『アメイジング・グレイス』を流して……」と言い遺したので、この曲がひたすら流れていました。

 

 私は翌年から勤務した脳卒中専門病院で、生死をさまよった末に生還された何人もの患者さんと出逢い、寂しさで空洞化していた私の心を支えていただきました。私は幸運でした。でも、同僚の先輩から罵倒されたことで、すっかり体調を崩してしまいました。年上の女性を直視できないのは、その頃からあったのでしょう。アイカさんのご指摘を受けて、今、あのヒステリックな指導は、私から誘発されたものだったのだとわかりました。その後も、私には後ろ楯がなく、いざというとき、すがれる親がいないと苦しみました。子育てでもそのことを何度も思い知らされ、その度に落ち込みました。

 

 小さな波の私の人生ですが、ジョン・ニュートン司祭は大波乱の人生を経たけれども、そこで天命に気づかれたと知り、私の人生で起きたどのことも、私が天命に目覚めるために必要だったのだと、死ぬ前には笑って振り返りたいものだと心底思いました。

 

 そして、今この世界で生きていることに意味を見い出し、自分の力を尽くして生きられるようにと、再び奮い立たされました。アイカさんが歌われる『アメイジング・グレイス』やカッチーニの『アヴェ・マリア』は、本当に私の深いところに届き、ご縁をいただいているのだと思い、感涙しています。

 いつも奥深く示唆に富んだ学びをありがとうございます。

 とても私的なことをたくさん書いてしまいました。この気付きをお伝えしたくて、長文になりすみません。ありがとうございました。

滋賀県草津市 S・I